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2024.01.15 コラム記事

うつ病や不安障害の兆候と対策

うつ病や不安障害といった精神的な不調は、40〜50代の中高年でも比較的多い問題だとご存じでしょうか?
50代というのは、育児や仕事の終わりがみえてきたり、ホルモンバランスが乱れたりと、それまでとは心身ともに変化する時期です。それに伴い、精神的に不調を感じることも増えます。精神の不調は体の不調にもつながるため、軽視できません。

今回は、うつ病や不安障害などの兆候と、不調を悪化させないための対策についてご紹介します。

精神的不調の問題と兆候

精神的な不調は、本人も自覚していないことがあります。放置していると、どのような影響が出てしまうのでしょうか?

うつ病・不安障害とは?

うつ病や不安障害は、若い世代のものだとイメージしていませんか?
実際、うつ病は若い世代と中高年の2つの年齢層で、不安障害は30代を中心に幅広い世代で発症する傾向にあることがわかっています。精神的な不調は、若い人だけの問題ではありません。

うつ病は、気持ちが落ち込む・意欲が出ないといった症状が特徴的です。人は誰しも、1日の中で楽しい気持ちになったり、ネガティブな気持ちになったり、感情の起伏があります。うつ病やうつ状態の方では、ネガティブな方向の波が多くなるというイメージです。

不安障害は、過度の不安や心配によって日常生活に支障が出る状態を指します。特定の物事へ不安を感じることもあれば、うまく表現できない漠然とした不安という場合もあり、人によってさまざまです。パニック障害や強迫性障害も不安障害の一種で、全体の5%前後の方が何らかの不安障害を抱えているともいわれています。

精神的不調による影響とは?

うつ病や不安障害では、心の症状よりも体の症状の方が目立つ場合もあれば、心の症状によってだんだんと体にも影響が出てくる場合もあります。
精神的な不調は、心だけの問題ではありません。心と体は関わり合っているので、どちらにも影響があるのです。

・睡眠障害
うつ病(うつ状態)や不安障害など、精神的な不調があるほとんどの方で睡眠障害を併発します。寝付けない、寝た気がしない(熟睡できない)、早朝に目が覚めてしまうなど、タイプはさまざまです。

・便秘や下痢、胃の不調
人の幸せな気持ちに関わる「セロトニン」というホルモンは、ほとんどが腸で作られます。セロトニンは胃腸の動きを整え、心をポジティブにする働きをしていますが、うつ状態の方はセロトニンの量が不十分な状態です。そのため、便秘や下痢といった排便の不調が起きたり、胃の動きが悪化して胃もたれを起こしたりします。

・肥満や生活習慣病
肥満や生活習慣病がうつ病と関わっているらしいと、ここ数年でわかってきました。うつ病の治療薬の影響で食欲が増すことなども関係しているかもしれませんが、不規則な食事、運動不足、うつに伴う睡眠障害などが肥満や生活習慣病を引き起こしやすくしているのでしょう。精神的な不調から、体の病気へとつながる危険があるのです。

精神的不調の兆候をチェック

「私は精神的に問題ないよ」と思っている方でも、実はちょっとした不調のサインがあるかもしれません。1日の中で、次にご紹介するような気持ちや状態になっていませんか?チェックしてみましょう。

・朝は、早くに目が覚める。
・あまり食欲がないので朝ごはんは食べない。
・仕事に行きたくないと感じる。
・家事をしたくない、買い物に行きたくないと感じる。
・職場についたが、気持ちが乗らない。
・集中できないと感じる。
・人と話すのが億劫だと思う。
・汗をかいたり、動悸を感じたりすることがある。
・なんとなく不安な気持ちが拭えない。
・夕方になり、少し元気が出てくる。
・帰宅するが、テレビを見ても本を読んでも気分がパッとしない。
・なかなか寝付けない。

時々であれば、「昨日は夜更かししちゃったから、眠くて集中できない」「今日は料理をする気分じゃないなぁ」ということがあっても不思議ではありません。
ですが、それが毎日のように続いてしまえば、それはうつ状態や不安障害のサインかもしれません。今回ご紹介したような兆候が多い方は、身近な方に相談したり、専門機関を受診したりすることを考えてみましょう。

精神的不調の予防・改善のために

精神的不調を予防したり、悪化しないうちに改善するために、おすすめの対処法を3つご紹介します。

十分な睡眠をとる

睡眠障害から精神的不調をきたすこともあれば、逆のこともあり、十分な睡眠は精神的な安定に必要不可欠な要素です。

睡眠に大切なのは「長さと質」で、どちらが欠けてもいけません。忙しい40代・50代の方に特に注意してもらいたいのは「社会的時差ボケ」と呼ばれる現象です。「寝溜め」をして、睡眠不足を解消しようとしていませんか?
近年、睡眠の真ん中あたりの時刻、「睡眠中央時間」を大きくずらさないことが大切だということがわかってきました。

たとえば、平日は24時に寝て朝6時に起きる、休日は夜更かしをして2時に寝て朝は9時に起きる…というパターンを考えてみましょう。平日の「睡眠中央時間」は深夜3時ごろですが、休日は朝方の5時半で、2時間半ずれていますね。そうすると、体は時差のある海外へ行ったときと同じような勘違いを起こして、体内時計が狂います。さらに、朝寝坊することで睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌も遅れ、夜はなかなか眠くならずに、悪循環となってしまうのです。

少し長く寝たい場合には、いつもより早く寝て、朝寝坊しすぎないことを意識してください。

運動などで気分転換を

ご自身にとって、気分転換になることを探しましょう。

一般的におすすめされるのが、少し汗ばむくらいのちょっとした運動です。体を動かすことでうつ症状の程度や頻度が改善することがわかっていますし、体が適度に疲れるので睡眠の質向上にもつながります。

あまり激しいスポーツをする必要はありませんが、自然の多い公園や綺麗な水辺など、気分の落ち着くような場所へ散歩に出かけてみませんか?ウォーキングも、少し工夫しておこなえば汗ばんで息もはずむくらいしっかりとした運動になります。1回30分くらいを目安に、ウォーキングからはじめてみませんか?

<ウォーキングの強度を上げるコツ>
・少しだけ早歩きする
息が軽くはずむくらい、歩きながらお喋りができるくらいの速度が目安です。
・歩幅を広げる
大きく一歩を踏み込むことで、自然にスピードが上がり、強度が高まります。
・フォームを意識する
腕を大きく振り、太ももを高くあげましょう。とくに、腕を後ろに引くことを意識すると肩甲骨を動かすことができ、上半身の筋肉へも刺激になります。

定期的なストレス・疲労チェックを

定期的にストレスや疲労の度合いをチェックしてみましょう。ご自身ではあまり気が付かないことでも、チェックをしてみれば客観的に判断できます。
たとえば、厚生労働省のサイトでチェックがおこなえますので、活用してみてください。

働く人の疲労蓄積度セルフチェック
5分でできる職場のストレスセルフチェック

「家族が最近、仕事で疲れているようだ」と感じている場合に、ご家族の立場からおこなえるチェック項目もあります。

働く人の疲労蓄積度セルフチェック(家族支援用)

まとめ

今回は、中高年の方にも注意してもらいたいうつ病(うつ状態)や不安障害の兆候と、その対策についてご紹介しました。
精神的な不調は、若い世代に多いものだとイメージしている方が多いですが、実はそうではありません。中高年の、ライフスタイルや環境が大きく変わる世代の方にも、無視できない問題です。精神的な不調から体の不調、そして体の病気の発症へとつながることもあるので、なるべく早いうちに対処しましょう。
睡眠や運動に気を配ること、定期的なストレスチェックで客観的にご自身の状態を把握してみることをおすすめします。

参考

・厚生労働省.知っているようで知らない睡眠のこと
https://e-kennet.mhlw.go.jp/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/leaf-sleep_a5.pdf?1684281600048
・厚生労働省.働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳
https://kokoro.mhlw.go.jp/
・忽滑谷和孝.生活習慣病とメンタルヘルス.日職災医誌, 62:316─321, 2014.
http://www.jsomt.jp/journal/pdf/062050316.pdf