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2023.12.21 コラム記事

メタボリックシンドロームと肥満の関係について

メタボリックシンドロームと聞いて、何をイメージするでしょうか。中高年でお腹の出ている人、といった印象をお持ちの方が多いかもしれません。メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積をきっかけに生じるさまざまな疾患を引き起こしやすくなった状態で、「肥満症」と似ていますが少し異なる概念です。どちらも、健康を維持するためには避けたい状態といえるでしょう。

今回は、肥満症とメタボリックシンドロームとの類似点・相違点について、詳しくご紹介します。

肥満症とメタボリックシンドロームの定義とは?

まずは、肥満症とメタボリックシンドロームのそれぞれの定義を確認しましょう。

<肥満・肥満症・メタボリックシンドロームの定義>

肥満肥満症メタボリックシンドローム

BMI≧25BMI≧25【腹囲】
男性:85cm以上
女性:90cm以上
特定の11疾患に1つ以上当てはまる
または
内臓脂肪の蓄積がある
以下の3項目で2つ以上当てはまる
①血圧
収縮期血圧(上)130mmHg以上
かつ/または
拡張期血圧(下)85mmHg以上
②血糖値
空腹時の血糖値110mg/dL以上
③コレステロール
トリグリセリド150mg/dL以上
かつ/または
HDLコレステロール40mg/dL未満

肥満症は皮下脂肪型

肥満症は、身長と体重から算出するBMI(体格指数)を元に診断されます。

単に太っているだけの状態は「肥満」ですが、肥満によって何らかの合併症がある・または合併症のリスクが高いという場合は「肥満症」と診断され、医学的に減量が必要な状態です。

肥満や肥満症では、主に「皮下脂肪」が蓄積します。下腹部や腰、お尻、太もも、二の腕などさまざまな部位に蓄積し、「落ちにくい脂肪」です。皮下脂肪は、男性よりも女性につきやすい傾向にあります。

以下の11種類の疾患は、肥満と関連が強く、1つ以上が当てはまれば「肥満症」です。現実的には、肥満の方は以下の疾患の1つくらいはお持ちの方が多いため、肥満と肥満症を区別する意味はあまりないかもしれません。

<肥満による11種類の合併症>
・耐糖能障害(耐糖能異常、2型糖尿病)
・脂質異常症
・高血圧
・高尿酸血症、痛風
・冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)
・脳梗塞
・脂肪肝
・月経異常、不妊
・睡眠時無呼吸症候群、肥満低換気症候群
・変形性関節症(腰椎、股関節)、変形性脊椎症、手指の変形性関節症
・肥満関連腎臓病

肥満症の診断には関わりませんが、肥満が原因になる疾患としては以下のようなものが知られています。
・気管支喘息
・不妊
・血栓症
・胆石
・がん

「肥満は、万病のもと」ということができるでしょう。

メタボは内臓脂肪型

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪が多いことに加え、血圧・血糖値・コレステロール値のいずれか2つ以上に問題がある状態です。メタボリックシンドロームになると、生活習慣病を引き起こしやすくなるため、早いうちから適切な対処をする必要があります。メタボリックシンドロームは、とくに30代〜60代の方に意識していただきたいです。

内臓脂肪は、名前の通り内臓の周りにつく脂肪で、お腹周りを中心にポッコリします。いわゆる「中年太り」の体型が、メタボリックシンドロームの簡単なサインです。

メタボリックシンドロームの方は、そうでない方と比べて、心血管疾患やそれに関連した死亡は3倍、糖尿病は3〜6倍も増えます。また、皮下脂肪型の肥満と比べて脂肪肝になるリスクが高いです。脂肪肝がコレステロール値や血糖値を上げる原因になり、メタボリックシンドロームを悪化させます。また、内臓脂肪の存在そのものが動脈硬化の進行に関わり、生活習慣病が次々に発症するきっかけを作ります。

メタボリックシンドロームが進行し、動脈硬化に関連するあらゆる病気を次々に発症することは「メタボリックドミノ」と呼ばれ、最終的には脳梗塞などの大きな病気や死亡へと繋がっていきます。ドミノの早い段階で食い止めることが大切です。内臓脂肪の蓄積もまた、「万病のもと」ということができるでしょう。

高齢者はBMIを気にしすぎなくてOK

高齢者は、背が少し低くなること・低栄養になりがちなこと・心不全や腎不全などの病気によって浮腫が出て体重が増えることなどの影響で、BMIが高く算出される傾向にあります。そのため、若い頃と比較すると、BMIだけをみて病気のリスクを考えることができません。実際、75歳以上の高齢者の肥満は、心血管疾患や認知症・死亡などとの関連がはっきりとしないことがわかっています。

ただし、高齢でBMI≧30に該当する場合は、階段の上り下りに支障が出たり、バランスを取りにくくなったりして、日常生活へ悪影響があります。太り過ぎには注意が必要ですが、高齢になってからは、筋肉が落ちて過度に痩せないようにすることの方が大切です。

肥満症とメタボリックシンドロームの関連・相違点は?

肥満症とメタボリックシンドロームは、一部が重なる概念です。そのため、関連することもあれば、異なる点もあります。

どちらも生活習慣が関わる

肥満症もメタボリックシンドロームも、どちらも生活習慣が関与して発症します。

食べすぎと運動不足は、肥満や糖尿病、脂質異常症などを引き起こす直接的な原因です。遺伝的な要因もありますが、そうであっても、肥満とメタボリックシンドロームを予防するためには、食事と運動に気を使わなくてはなりません。また、ストレスや疲労といった、一見生活習慣と無関係に思われるようなことも、肥満や生活習慣病の発症と関わります。

肥満やメタボリックシンドロームで健康を害さないためには、生活を振り返り、あまりよくない生活習慣があれば1つ1つ見直す、ということが大切です。

「メタボリックシンドローム=肥満」ではない

大きな相違点として、1つ注意が必要なのは、メタボリックシンドロームに該当する方は、太っているとは限らないという点です。普通体型で太っているように見えなくても、お腹周りにはしっかり内臓脂肪がついていることが珍しくありません。メタボリックシンドロームの診断基準にBMIや体重は含まれておらず、見た目の体格では判断できないのです。

一方で、肥満症の診断基準をみていただくとわかるように、肥満症の方はメタボリックシンドロームにも該当することが多いです。耐糖能異常や脂質異常症、高血圧と、メタボリックシンドロームの診断基準に使われる疾患が、肥満症の診断にも使われています。

近年問題になっているのは「痩せているのにメタボ(内臓脂肪が多い)」の状態です。痩せメタボは、とくに若い女性に多い傾向があります。日本でおこなわれた調査では、BMIが18.5未満の痩せ体型の女性は、BMIが18.5〜23の普通体型の女性と比較して、耐糖能異常の割合が7倍も高いという結果でした。耐糖能異常の状態が続くと、糖尿病を引き起こしてしまいます。

適切な食事や運動をして、痩せすぎ・太りすぎを避けることが大切ですね。

まとめ

今回は、肥満とメタボリックシンドロームの類似点・相違点についてご紹介しました。どちらも生活習慣が関連して生じる状態で、さまざまな全身の病気を引き起こします。食事や運動に気を使って、早い段階で改善することが大切です。肥満の方はメタボリックシンドロームにも該当することがほとんどですが、メタボリックシンドロームだからといって太っているとは限りません。最近では、見た目には痩せていても内臓脂肪が多い「痩せメタボ」も話題になっています。太りすぎ・痩せすぎをさけ、長く健康で過ごせるように意識してみてください。


・日本生活習慣病予防協会.メタボリックシンドロームと肥満症
https://seikatsusyukanbyo.com/guide/obesity.php
・日本肥満学会.肥満症診療ガイドライン2022
http://www.jasso.or.jp/contents/magazine/journal.html
・国内外の肥満・メタボリックシンドロームの推移
https://www.jacd.info/library/jjcdp/review/54-1_01_sakurai.pdf
・厚生労働省e-ヘルスネット:内臓脂肪型肥満
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-051.html
・厚生労働省e-ヘルスネット:皮下脂肪型肥満
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-054.html