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生活習慣病予防に役立つ禁煙のメリットと方法について

40代、50代になると、誰にとっても生活習慣病は避けて通れない健康問題となってきます。血圧やお腹周りの脂肪が気になるという方もは多いでしょう。生活習慣病の予防・改善に繋がる方法の1つとして、「禁煙」が挙げられます。今回は、喫煙が悪化させる生活習慣病についてご紹介し、禁煙のメリットと方法を解説いたします。



喫煙によって悪化する生活習慣病とは?


まずは、喫煙が悪影響を及ぼす生活習慣病について、具体的にみていきましょう。


高血圧


高血圧はさまざまな要因が絡み合って生じますが、喫煙は大きな要因の1つです。交感神経が刺激され、血圧が上がるだけでなく、脈拍数も上がり、心臓への負担も大きくなります。そして、高血圧が続くと動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中などさらなる病気のリスクを高めてしまいます。


脂質異常症


喫煙が1つの要因となって、脂質異常症が引き起こされます。喫煙には、善玉(HDL)コレステロールを減らし、悪玉(LDL)コレステロールや中性脂肪を増やす作用があるのです。脂質異常症を放置していると、コレステロールが血管の内側にこびりついて血管が狭くなり、また、動脈硬化も進行します。すると、高血圧や脳血管疾患などに繋がってしまいます。


糖尿病


喫煙によって交感神経が刺激される影響で血糖値が上がり、さらに、インスリンの働きも妨げられます。そのため糖尿病にかかりやすくなり、また、糖尿病のコントロールも難しくなるかもしれません。糖尿病は動脈硬化の進行にも関与し、糖尿病の合併症として重要な「糖尿病性腎症」のリスクも高まります。糖尿病性腎症は、人工透析の原因の第1位で、生活の質を大きく下げるきっかけとなる疾患です。


脳血管疾患


脳血管疾患は、脳梗塞や脳出血などのことです。これまでご紹介したように、喫煙を1つの要因として高血圧や脂質異常症、糖尿病などあらゆる生活習慣病を発症し、動脈硬化が進行します。そして、喫煙は血液をドロドロにする作用があるため、喫煙者は血栓(血の塊)ができやすい状態です。 その血栓が脳や心臓の血管を詰まらせれば脳梗塞や心筋梗塞を起こします。また、動脈硬化によって脆くなった血管に、高血圧で強い圧力がかかり続ければ、脳出血を起こすリスクが高くなります。


心疾患


心疾患にはさまざまありますが、とくに虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)は喫煙と密接な関連がある疾患です。

喫煙によって動脈の炎症や収縮が起こり、動脈硬化がすすみ、心臓への酸素供給が不十分になります。そうすると、虚血性心疾患の発症につながります。 虚血性心疾患の発症を増やすだけでなく、死亡リスクも増加させ、さらに、タバコの本数を減らす、あるいは低ニコチンたばこに切り替えても、虚血性心疾患のリスク低下にはつながらないそうです。虚血性心疾患の発症を抑えるためには、禁煙しなくてはなりません。


肺疾患


タバコといえば、肺に悪影響だということはほとんどの方が知っているでしょう。タバコが原因となる代表的な疾患は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)と肺がんです。喫煙を続けると炎症が起きて肺がどんどん破壊され、呼吸の機能が低下します。 受動喫煙でも同じように肺が壊れてしまう点は注意が必要です。肺が壊れ、しっかり酸素と二酸化炭素の交換ができなくなった状態を、COPDと呼びます。COPDは、喫煙者の5人に1人が発症し、治らない疾患です。年齢よりも肺の機能が早く衰えますが、禁煙ができれば機能の低下を遅らせることができます。COPDが進行すると酸素吸入が必要になり、トイレに行くなどの少しの体動でも苦しさを感じるようになります。


肺がんは、非喫煙者に比べて、喫煙者は4倍以上も発症率が高いです。男性の肺がんの68%、女性の肺がんの18%はタバコが原因とわかっています。タバコを吸っている年数が長いほど、また、1日に吸う本数が多いほど、肺がんのリスクが高いです。


禁煙のメリットと方法


実際に禁煙をしようと思っても、意思の力だけではなかなか難しいものです。メリットを理解し、準備をして禁煙を始めましょう。


禁煙はいつからでも効果あり


「もう何十年もタバコを吸っているから、今更禁煙しても意味がないのでは?」と、禁煙を躊躇っている方は少なくありません。ですが、何年、何本タバコを吸っていたとしても、禁煙には意味があります。


また、たとえば心臓発作を起こした後から禁煙したとしても、次の心臓発作の可能性を半分にまで低下させることができます。喫煙者は、一度もタバコを吸ったことのない人と比べて余命が10年短くなるとされていますが、60歳で禁煙したとしても余命を3年延長させることも可能です。


いつからでも禁煙のメリットは得られるとはいえ、早く禁煙するに越したことはありません。35〜40歳で禁煙すると、喫煙をしなかった場合と同じ余命を取り戻せるとわかっています。


禁煙の方法


禁煙は、ご自身の意思だけでは失敗する可能性が高いです。計画を立て、周囲のサポートを得ながら、禁煙成功を目指しましょう。


<①禁煙開始の日を決める> いつから禁煙を始めるか、決めて準備します。周りに禁煙宣言をしたり、禁煙したい理由を並べて禁煙の意思を高めたりしましょう。休日にたくさん吸ってしまうのであれば、平日に禁煙を始めるのがおすすめです。 「健康的に長生きをして孫の成長を見る」「月に◯◯円を節約する」など、目的をはっきりさせることで、禁煙に挫折しそうになったときの支えになります。急に「今から禁煙しよう」とするよりも、計画的に始めた方が成功しやすいです。


<②禁煙補助薬を使う> 禁煙で辛いのは、禁断症状(離脱症状)です。

・「タバコが吸いたい」という強い欲求 ・イライラする ・眠気・頭痛・体のだるさ

こうした禁断症状は、だいたい10〜14日ほど続くことが多いです。禁煙補助薬を使えば、禁断症状を緩和させることができ、禁煙の成功率を70〜80%に高めることができます。禁煙外来などの医療機関のほか、一部の薬局などで禁煙補助薬を扱っていますので、お近くで探してみましょう。

<③タバコの代わりの行動を考える> タバコを吸いたい!と感じたときに、気を紛らわせるためにおこなうことをいくつか考えておきましょう。

たとえば、食事のあとにタバコを吸いたくなるのであれば、歯磨きやガムを噛むなど別の行動をします。仕事の休憩時間に吸いたくなった場合には、階段の上り下りなどをしてみてはいかがでしょうか。コーヒーを飲むとタバコを吸いたくなるのであれば、コーヒーを一時的にやめて、紅茶や炭酸などにしてみてください。

場面に合わせていろいろな選択肢を考えておきましょう。

<④ご褒美を設定する> 1週間、1か月、3か月など、ある程度の節目ごとにご褒美を設定しましょう。美味しいものを食べるのもよいでしょうし、浮いたタバコ代で欲しかったものを買うのもいいですね。つらい禁煙を続けるために、楽しみを持ちましょう。

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まとめ


今回は、喫煙によって悪化する生活習慣病について解説し、禁煙のメリットと方法をご紹介しました。喫煙は、さまざまな疾患を引き起こします。禁煙をすることで、短期的にも長期的にも、健康上のメリットが得られます。「今更遅い、意味がない」と思わず、今から禁煙を始めてみませんか?計画を立て、医療機関や家族など周囲のサポートを得ることで、禁煙成功に近づきます。

・厚生労働省 e-ヘルスネット:喫煙と循環器疾患 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-002.html ・厚生労働省 e-ヘルスネット:禁煙の準備 – 禁煙7日前から行う、禁煙のコツを教えます!《準備編》 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-06-002.html ・厚生労働省 e-ヘルスネット:禁煙開始からまだ間もない方へ《実行期編》https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-06-003.html ・日本呼吸器学会. 禁煙のすすめhttps://www.jrs.or.jp/citizen/nosmoking/data/copd.html ・国立がん研究センターがん対策研究所予防関連プロジェクト. たばこと肺がんとの関係について https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/254.html ・日本医師会. さあ禁煙を始めましょう!https://www.med.or.jp/forest/kinen/start/#firstContents

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