生活習慣病予防に役立つ血圧管理とその方法について
更新日:5 日前
「血圧が高いけど、何も症状がないから大丈夫かな」「忙しいから通院を続けられないし、やめてしまおうかな」と考えたことがある方はいませんか?日本人は、3〜4人に1人が高血圧といわれており、75歳以上ではなんと70%以上の方が高血圧です。ほとんど全員に関係する病気といえますね。高血圧は、自覚症状がほとんどないので軽く考えられがちですが、いろいろな生活習慣病の元になる重大な病気です。健康を維持するためには、しっかり血圧を管理しなければなりません。
今回は、生活習慣病予防に役立つ血圧管理の方法をご紹介します。日々の生活の中で、少し意識してみてください。
血圧と生活習慣病の関係は?
血圧の目標値は、ご自宅で測定する数値として135/85mmHg未満です。これよりも高い状態が続くと、健康面でどのような影響があるでしょうか?
動脈硬化がすすむ
血圧が上がると、血管が硬くなる「動脈硬化」がどんどんと進行します。まずは、そのメカニズムをみてみましょう。
血圧が高くても痛みやつらさなどの症状を感じることはほとんどありませんが、心臓の拍動のたびに血管の内側には強い圧力がかかっています。強い圧力がかかると、血管の内側に小さな傷ができます。皮膚に傷ができたときを思い出してみると、カサブタができて、その後は少し皮膚がごわついたようになるのがイメージできるでしょう。血管でも同じようなことが起こります。小さな傷ができては修復され、を繰り返すことで、少しずつ血管が硬くなり、動脈硬化が進行していくのです。
動脈硬化によって血管が硬く、脆くなると、心筋梗塞や脳梗塞、腎臓病などあらゆる病気の原因になるため、健康を保つためにはできるだけ進行を遅らせなければなりません。
ほかの生活習慣病を引き起こす
日本人の場合は、高血圧からメタボリックシンドロームに移行する人が多いことが知られています。
高血圧の方の中でも、若い世代~中年の男性に増えている、お腹が出ているような、いわゆるメタボ体型の高血圧には特に注意が必要です。このタイプの高血圧の方は、まず拡張期血圧(下の血圧)が高くなりやすく、徐々に収縮期血圧(上の血圧)も高くなる傾向にあります。そして、やがてコレステロール値や血糖値、尿酸値、肝機能の数値にも異常を起こしやすいです。血圧が高いだけでさまざまな病気の入り口となってしまうため、早いうちから対処して、健康に過ごせる期間を長くしましょう。
血圧を下げるには?
血圧を下げるためには、通院を続けて治療をすることも大切ですが、日々の生活でも注意すべきことがいくつかあります。今回は、血圧管理のためにできる3つの対処法をご紹介しますので、何か取り入れてみてください。
減塩を意識しましょう
まずはなんといっても「減塩」です。日本人は平均すると1日9〜10g程度の塩分をとっていますが、目標は1日6g、世界保健機構(WHO)はもっと厳しい1日5gを推奨しています。ほとんどの日本人が、塩分をとりすぎているのですね。
減塩をしましょうと言われても、「自炊をしないから無理」「料理するのに大さじ小さじをはかるのは面倒」と億劫に感じてしまうかもしれません。ですが、はじめから難しいことに挑戦する必要はありません。
まずは簡単なところから取り組んでみましょう。少しずつでも、始めることに意味があります。
・味噌汁を含め、スープや汁を飲まない汁には塩分が多いので、少しだけにしてください。スープを薄めたからといって、量をたくさん飲めば同じことです。
・ソース、醤油など「後からかける調味料」は「少しだけつける」料理に「かける」よりも、小皿に調味料を出して「つける」やり方が、量を調整しやすいのでお勧めです。「ちょっと少ないかな?」と感じるくらいの量でも、十分味を感じるものですので、少なめに試してみてください。
・お酢、スパイス、レモンなどを活用するお酢やスパイス(カレー粉、ガラムマサラ、ガーリック、唐辛子、ラー油など)、レモンには塩分が含まれませんが、うす味のアクセントとして活用することで満足感が得られます。
・「ご飯のお供」のおかずを減らす佃煮、梅干し、漬物、明太子など、ご飯がすすむおかずは、やはり塩分が高いです。漬物を常備しているというご家庭もあるかと思いますが、頻度を減らしていきましょう。たまのご褒美、外食した時だけなど、ルールを決めるとよいです。
・減塩調味料を使う減塩味噌、減塩しょうゆ、減塩しおなど、自炊をされる方は活用してみてください。
自分がどれだけ塩分をとりすぎているのか知るために、塩分計を購入してもよいかもしれません。簡単な機能のものであれば2000円〜4000円程度で購入できます。実際に「塩分濃度が高い・低い」と数値で見ることができるので、納得して減塩生活を続けられるでしょう。
適度な運動で適正体重に
運動をすること自体でも血圧を下げる効果があるほか、体重を減らすことでも血圧を下げることがきるため、運動は血圧管理においては一石二鳥です。ただし、血圧が180以上ある方は、まずは薬を使って血圧を下げてから運動を始めることが推奨されていますので、運動をしてもよいかどうかは医師と相談してください。
高血圧の方が運動を取り入れることで、収縮期血圧(上の血圧)を8mmHg程度、拡張期血圧(下の血圧)を5mmHg程度下げる効果があるといわれています。血圧が150/110の方であれば、運動だけで142/105程度まで下げられるかもしれないということです。
運動は、あまり体に負荷の大きいものや、ハードなことをする必要はありません。少し汗ばむくらいの有酸素運動を、毎日30分がおすすめです。ウォーキングでもよいですし、サイクリングやヨガ、水泳、エアロビクスなど、ご自身が楽しんでできるもの、日常生活でおこないやすいものを選びましょう。毎日が無理だからといって、諦めないでください。やらないよりは、1日10分でも、週に1回だけでもやった方がよいです。
目標体重は、BMI=25未満を目指しましょう。これよりも体重の多い方は、運動をしたり、間食をやめたりして減量することをおすすめします。
タバコ、お酒を控えめに
タバコ、アルコールも、高血圧に関与しています。
タバコを吸うと血管が収縮し、喫煙直後から30分後程度までの間、血圧が10〜20mmHgも高くなるそうです。普段の血圧が140mmHgだとすると、一時的だとしても160mmHgまで上がってしまうかもしれません。もし1日に30本、40本とタバコを吸うヘビースモーカーの方であれば、血圧が下がりきる前に次のタバコを吸っていることも考えられます。タバコによって、1日中血圧が高くなっているかもしれません。また、タバコは動脈硬化を進行させるため、長期的にみても血圧に悪影響です。
アルコールについても、やはり飲み過ぎは高血圧につながることがわかっています。世界中で約2万人を対象にした調査によると、アルコールを過度に飲むことで最高血圧が5mmHg程度上がり、さらに、毎日のアルコール飲料の摂取量が多いと、血圧は年々、急激に上昇する可能性があるという結果でした。アルコールを楽しむ際には、塩分の高いおつまみを食べることも多くなると考えられますので、さまざまな要因で血圧に悪影響といえるでしょう。
タバコ、アルコールをよく嗜んでいる方は、頻度や量を減らしていきませんか?
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まとめ
今回は、高血圧と生活習慣病の関係について解説するとともに、血圧を下げるために日々できることを3つご紹介しました。高血圧は、ほとんど自覚症状がないために治療を続けるのが億劫になってしまうかもしれませんが、さまざまな病気の入り口になります。健康を維持するために、高血圧を放置しないことが大切です。薬のほか、日々の生活にも意識を向けて、血圧をコントロールしましょう。
参考
・厚生労働省e-ヘルスネット:高血圧症を改善するための運動 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/exercise/s-05-004.html ・村松常司他.愛知教育大学研究報告. 1987;36(芸術・保健体育・家政・技術科学論):123-31. ・保健指導リソースガイド.アルコールが高血圧の原因に飲酒量が少ない人も血圧が上昇2万人弱を調査 https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2023/012447.php ・生活習慣病オンライン.高血圧の診断基準と降圧目標値https://www.sageru.jp/bloodpressure/knowledge/criterion.html
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