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​健幸情報

メタボリックシンドロームの合併症と予防法

更新日:4月5日

メタボリックシンドロームについて、どのようなイメージをお持ちでしょうか?「お腹が出てる人のこと」「中年の男性に関わるもの」このような印象の方が多いかもしれませんね。じつは、メタボリックシンドロームは、放っておくとどんどん健康を損なってしまう、健康のターニングポイントのような状態です。予防・改善のために、少しずつ取り組みを始める必要があります。今回は、メタボリックシンドロームを放置するとどのような悪影響があるのか、また、予防や改善のためにどのような取り組みをするとよいのかについてご紹介します。

メタボリックシンドロームとは?

まずはメタボリックシンドロームについて、どのような状態なのか、健康へどう影響するのか解説します。

メタボリックシンドロームの基準

メタボリックシンドロームは、動脈硬化が原因で起こるさまざまな疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)を予防するために作られた概念です。

内臓脂肪が多く、かつ、生活習慣病の要素を複数持っている状態であれば「メタボリックシンドローム」と診断されます。「ただ太っているだけ」「中年男性だけに関わるもの」ではありません。生活習慣病は、1つ1つが動脈硬化となる可能性を高めますが、いくつか合併することでさらに動脈硬化が進行しやすくなります。

メタボリックシンドロームの診断基準をお示ししますので、ご自身の健康診断の結果などと見比べてみてください。

メタボリックシンドロームによる健康への悪影響

メタボリックシンドロームは、健康な状態に戻ることができるか、さらに進行して健康を損ねてしまうかの瀬戸際の段階です。

食事や運動など、不適切な生活習慣を続けていると、第一段階として「肥満」になり、内臓脂肪が蓄積します。内臓脂肪の蓄積は、インスリンの効きを悪くして血糖値を上げたり、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を減らして悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増やしたり、血圧を上げたりといったさまざまな悪影響があり、動脈硬化を進行させる大きな要因です。この状態が続くと、第二段階の「メタボリックシンドローム」へと進行します。

メタボリックシンドロームを放置していると、第三段階として「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧」など実際にさまざまな病気を発症します。これらの生活習慣病は、メタボリックシンドロームの合併症ということもできるでしょう。さらに動脈硬化が進行すると、脳梗塞や心筋梗塞、腎機能障害などの重篤な合併症を起こすことに繋がってしまいます。

将来にわたって元気に過ごすために、メタボリックシンドロームの段階で進行を食い止め、できるだけ長く健康な状態を維持することが大切です。

メタボを予防・改善するには?

では、メタボリックシンドロームの合併症である生活習慣病の発症を抑えるために、どのような取り組みを始めるとよいのでしょうか?

目標体重を確認

メタボリックシンドロームやその合併症を予防するには、体重を適正範囲内にコントロールする必要があります。まずは、ご自身の目標体重を確認しましょう。「BMI=22」が、最も病気になりにくい体格であるとわかっています。「BMI=25」以上は肥満に該当しますので、それよりも体重の多い方は減量を始めましょう。

急激な減量は、リバウンド(体重が戻ること)を起こしやすいです。1か月に体重の3〜5%までの減量を目安に、焦らずゆっくりとダイエットに取り組んでください。

食事の改善

ダイエットの基本は、食べすぎないことです。 1日の必要エネルギー量をもとに、それよりも多く食べないようにします。たとえば、50〜64歳の男性でデスクワーク中心の方は、1日2,200kcalまでです。65〜74歳の女性で運動習慣のない方は、1日1,500kalほどで十分です。

日本医師会のホームページで簡単に目安の計算ができますので、お試しください。

もし食べすぎているのであれば、食べる量を減らしたり、栄養バランスを整えるようにしましょう。外食の多い方でも、簡単に意識できる点をご紹介します。

・丼やパスタなどの一品料理を避け、定食スタイルにする 炭水化物ばかりとらず、おかずもバランスよくとるようにします。

・野菜を取り入れる たくさん噛むことで満足感を得やすいほか、血糖値の急上昇を抑える役割もあります。

・間食の回数を減らす 間食が多い方は、どうしても摂取エネルギー量が多くなってしまいます。

・間食の質を変える ケーキや大福など脂質・糖質の多いものではなく、チーズやヨーグルト、卵などタンパク質が多く含まれるものにすると、太りにくく、腹持ちもよくなります。

・減塩を意識する スープを飲み干さない、ソースやドレッシングを使いすぎないなど少しの減塩を始めましょう。

運動の取り組み

運動をおこなうことでダイエットのサポートになるほか、筋肉から「マイオカイン」と総称されるさまざまなホルモンが分泌され、生活習慣病の予防につながります。

運動は、「有酸素運動」「筋肉トレーニング」の2種類にバランスよく取り組みましょう。

有酸素運動としては、まずウォーキングがおすすめです。1日に8,000歩以上歩くことで、心臓や血管に関わる病気での死亡リスクが大きく減少するとわかっています。この8,000歩は、まとまった時間である必要はありません。1日の中でちょっとずつの「スキマ歩き」を積み重ねていきましょう。運動が好きな方は、ランニングやスイミングなども有効です。

筋肉トレーニングは、ご自宅でできる範囲でも十分効果が得られます。ジムに通ったり、プロテインを飲んだりといった本格的なことをする必要はありません。大きな負荷をかけなくても、日々筋肉を使うこと・トレーニングを続けることが大切です。

<スクワット> 太ももの筋肉を鍛えるトレーニングです。下半身には大きな筋肉がありますので、効率よく筋肉を鍛えることができます。 ・両足を肩幅に開いて立ちます。両腕は、まっすぐ前に、地面に平行になるように伸ばします。筋力に不安がある場合は、イスの背もたれを軽く掴んでください。 ・ゆっくりと3秒ほどかけて腰を落とします。このとき、膝がつま先よりも前に出ないように意識してください。 ・腰を落とした状態で1秒キープし、またゆっくりと3秒かけて元の姿勢に戻ります。 【10回繰り返す】

<もも上げ> 腰からお腹にかけての筋肉を鍛えるトレーニングです。 ・足を軽くひらき、背筋を伸ばして立ちます。手は腰に当てます。 ・片足ずつ、3秒かけて太ももを上げます。太ももが床と平行になるくらいまで上げてみましょう。このとき、バランスがうまく取れない方は、手で壁やイスの背もたれに軽く触れてください。 ・ももを上げて1秒キープし、また3秒かけて元の姿勢に戻ります。 【左右10回ずつ繰り返す】

<プランク> お腹周りの筋肉を中心に、二の腕や背中など、全身を鍛えるトレーニングです。 ・うつ伏せの状態から、両ひじを曲げて床につけます。 ・手は軽くこぶしを握るようにし、足はつま先だけを床につけて腰を浮かせます。このとき、お尻が高く上がったり、腰が反ったりせずに、頭から足先までまっすぐにすることを意識してください。 ・ゆっくりと呼吸をしながら、姿勢を数十秒間キープします。 【1日に1〜3セットおこなう】

まとめ

今回は、メタボリックシンドロームが健康へ与える悪影響についてお伝えするとともに、合併症予防のために必要な取り組みについてご紹介しました。 メタボリックシンドロームは、生活習慣病やそれによる重篤な合併症を発症する前段階の状態です。食事や運動の改善に取り組めば、健康を取り戻すことができるかもしれません。少しずつの取り組みを毎日積み重ね,健康を維持しましょう。

参考

・日本医師会. 1日に必要なカロリー https://www.med.or.jp/forest/health/eat/01.html ・厚生労働省.生活習慣病のイメージ https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/ikk-a20.pdf ・日本循環器学会.体重を管理しよう https://j-circ-assoc.or.jp/live/51/ ・久野譜也著. 100歳まで動ける体になる「筋リハ」 ・久野譜也著.死ぬまで歩ける!7秒筋肉体操


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