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​健幸情報

運動がフレイルに与える効果と効果的な方法

皆さんは、「フレイル」という言葉をご存じですか? 「心と体の活力が低下し、要介護になりやすい状態」「健康と介護の間の虚弱な状態」を指します。年齢を重ねるにつれ、誰しも少しずつ健康の維持は難しくなっていくものですが、筋肉が減少し始める40代頃からは「フレイル予防」を意識してみましょう。長く元気に過ごすためには、フレイルを予防すること、フレイルから「要介護の状態」へ進行するのを遅らせる必要があります。早いうちから対策を取ることが大切です。



ここでは、運動がフレイルにどのような効果をもたらすかについて解説するとともに、効果的な運動の方法をご紹介します。


フレイルに対する運動の効果


フレイルは、「要介護の一歩手前」の状態です。歩くのが遅い、転びやすい、ペットボトルのふたが開けられない…身に覚えがあれば、筋肉量が減っているサインかもしれません。放っておけばフレイルになってしまいます。 フレイルを予防するために、日々の生活の中で何を意識しなくてはならないのでしょうか。


元気に過ごせない期間は案外長い


皆さんは、健康寿命という言葉を聞いたことがありますか?「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。


つまり、それより後は「健康上に問題があり、日常生活が制限される期間」ということになります。その期間は、なんと男性で約9年間、女性で約12年間にも及ぶのです。

※厚生労働省. 健康寿命の令和元年値について より


介護が必要になったり、場合によっては寝たきりになったりする期間が10年にも及ぶというのは、想像よりも長いのではないでしょうか。そうならないために、早いうちからフレイル予防に取り組むことが大切です。


運動で健康寿命を伸ばすことができる


寝たきりになってもいい、と思っている人は少ないですよね。できるだけ長く、健康で楽しく過ごしたいというのが多くの人の願いだと思います。そうなるためのカギこそが「運動」です。

「無酸素運動」と「有酸素運動」の2つをバランスよく行うことで、フレイルを予防し、健康寿命を伸ばすことができます。何歳からでも遅すぎるということはありません。体の衰えにストップをかけることができるよう、運動に取り組んでみましょう。

無酸素運動とは、筋力トレーニングのことです。

筋肉は、体を動かすエネルギーを作る「工場」のような働きをしている、とイメージしてください。筋肉を動かすことで活動するためのエネルギーが作り出されています。筋肉量が減少するとエネルギーが十分に作れず、疲れやすい・体力が続かないといった状態になってしまいます。

筋肉の量は、黙っていれば40歳から1年に1%ずつ減ってしまうもの。70代になると、20代の頃の半分にまで減ってしまうのです。筋肉量を維持し、疲れにくい体を目指しましょう。

一方で、有酸素運動とは、ウォーキングやジョギング、エアロビクスなどのことです。「運動が好き」「人と一緒に体を動かしたい」という方はエアロビクスなどの教室に通うのもよいですし、これから運動を始める方は手軽で始めやすいウォーキングも良いですね。


有酸素運動をすることで、筋肉の中に毛細血管がたくさん増えることがわかっています。酸素や栄養分が筋肉に届きやすくなり、効率よくエネルギーを作り出すことができるのです。



フレイル予防に効果的な運動の方法


運動が大事だと言われても、「今まで運動習慣がなかったのに、今更始められない」と尻込みしてしまうかもしれませんね。ですが、ご安心ください。ここでは、日常生活にちょっとプラスするだけ、ジムに行ったり道具を買ったりしなくてもできる、簡単なものだけをご紹介していきます。



筋力トレーニング


筋肉トレーニングは、週に3回を目安に取り組んでみましょう。 全くやらないよりは、週に1回でも始めることが大切です。完璧にやれなくても、気にすることはありません。まずほんの2,3分でも始めてみませんか? 「ご飯を食べたらやる」「テレビを見ているときにやる」など、タイミングを決めると取り組みやすいかもしれません。



<スクワット> 太ももやお尻の筋肉を鍛えるトレーニングです。 ・イスの背もたれをつかみ、まっすぐに立ちます。足は肩幅に広げます。 ・3秒かけてゆっくりと、腰を落とします。このとき、膝がつま先よりも前に出ないよう意識してください。 ・腰を落とした姿勢で1秒キープし、また3秒かけて元の姿勢に戻ります。 【10回繰り返す】 ※体力に自信のある方はイスの背もたれを掴まず、腕を胸の前で組んで行いましょう。


<もも上げ> 腰からお腹にかけての筋肉を鍛えるトレーニングです。 ・足を軽くひらき、背筋を伸ばして立ちます。手は腰に当てます。 ・片足ずつ、3秒かけて太ももを上げます。太ももが床と平行になるくらいまで上げてみましょう。このとき、バランスがうまく取れない方は手を壁やイスの背もたれについてください。 ・ももを上げて1秒キープし、また3秒かけて元の姿勢に戻ります。 【左右10回ずつ繰り返す】


<ひざのばし> 太ももの前側の筋肉を鍛えるトレーニングです。 ・イスに浅く座り、背筋を伸ばします。このとき、イスの座面を掴んで体が安定するようにしてください。 ・片足ずつ、3秒かけてひざを伸ばします。膝をまっすぐ、地面と平行になるように伸ばしましょう。つま先は自分の方へ向けるイメージです。 ・ひざを伸ばした状態で1秒キープし、また3秒かけて元の姿勢に戻ります。 【左右10回ずつ繰り返す】 ※慣れてきたら、イスの座面を掴まず、太ももに手を置いて行いましょう。


<かかと上げ> 「第二の心臓」とも呼ばれる、ふくらはぎの筋肉を鍛えるトレーニングです。 ・イスの背もたれに手を置き、真っ直ぐに立ちます。足は肩幅に広げます。 ・ゆっくりと3秒かけて、かかとを上げます。足裏の前半分に体重をかけて、体全体を上に持ち上げるイメージでおこないます。 ・ゆっくりと3秒かけて、元の姿勢に戻ります。 【10回繰り返す】 ※もう少し負荷をかけたい方は、かかとを床につけずに、かかとの上げ下ろしを10回行いましょう。

ウォーキング


有酸素運動をしてみようと思ったら、まずはウォーキングを行うのはいかがでしょうか。

目標にする歩数を設定し、毎日チェックすると続けやすいです。スマートウォッチや歩数計を使えば、ご自身が1日にどのくらい歩いているのかを簡単に確認できます。最終目標は、1日8,000歩(65歳以上は7,000歩)です。


家にいることが多い方やデスクワークが中心の方は、なかなか8000歩の到達は難しいかもしれません。そのような場合には、まずは今よりも「+10分(=+1000歩)」歩くことを意識してみましょう。


ウォーキングは、「今から30分ウォーキングをするぞ!」と時間をとって取り組んでもよいですし、日常生活の中でこまめに歩くようにしてもよいですね。

近所のスーパーまで車ではなく歩いて行く、駅ではエレベーターではなく階段を使う、テレビを見ていてコマーシャルになったら家の中を歩くなど、ちょっとした「スキマ歩き」を積み重ねましょう。

ウォーキングの効果を高めたい!という方は、以下のポイントを意識してみましょう。

<ウォーキングの効果を高めるコツ> ・少しだけ早歩きする 息が軽くはずむくらい、歩きながらお喋りができるくらいが目安です。 ・歩幅を広げる 大きく一歩を踏み込むことで、自然にスピードが上がります。 ・フォームを意識する 腕を大きく振り、太ももを高くあげましょう。とくに、腕を後ろに引くことを意識すると肩甲骨を動かすことができ、上半身の筋肉へも刺激になります。



まとめ


今回は、運動によってどのような「フレイル予防効果」があるのか、また、効果的な運動の方法についてお伝えしました。 日々の生活に運動を取り入れることで、フレイルを遠ざけ、健康寿命を伸ばすことができます。長く元気に過ごせるように、簡単な筋力トレーニングとウォーキングをおこないましょう。



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参考

・厚生労働省 e-ヘルスネット:平均寿命と健康寿命 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/hale/h-01-002.html

・厚生労働省. 健康寿命の令和元年値について https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf

・久野譜也 著. 死ぬまで歩ける!7秒筋肉体操 https://x.gd/0J7cP

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