top of page

​健幸情報

高齢者にとってフレイルとは何か?家族が知っておくべきこと

更新日:4月5日

高齢になるにつれ、若い頃と同じように体がうごかなくなるのは自然なこと。とはいえ、自然のままに任せていてはいけません。「フレイル」という状態にならないよう注意が必要です。 フレイルは「健康と介護の間の虚弱な状態」で、心がけ次第ではまだ「健康」にもどることができるとされています。 今回は、親世代・祖父母世代の家族に長く健康でいてもらうため、家族として知っておくべきこと・できることについてご紹介します。

フレイルとは?

フレイルは、高齢者の健康維持のために近年注目されている状態です。具体的には、加齢などをきっかけとして体の機能が低下しつつあり、日常生活に少しずつ支障が出てくるような「健康と介護の間」の状態を指します。

フレイル自体は「病気」というわけではありません。それでも、放っておけば健康を損ない、介護が必要になってしまう状態です。進行すると、介護なしには生活できなくなったり、寝たきりになったりするかもしれません。 できることなら、高齢の家族には、介護が必要にならず、元気に暮らしてもらいたいものですよね。そのために、フレイルを知り、予防のサポートをしましょう。

フレイルには、3つの要素があります。

①身体的フレイル 身体的フレイルとは、筋肉量が減る影響で体の機能や活動能力が衰えることです。まずは疲れやすさや持久力のなさを自覚しはじめ、そして歩く速度がゆっくりとなり、バランスを崩しやすくなります。 身体的フレイルが進行すると、転倒して骨折し動けなくなったり、病気や手術からの回復が遅れたりするなど、元気に過ごすには支障が出てしまうでしょう。

⓶心理的フレイル 心理的フレイルは、精神的に心細さやつらさを感じたり、認知機能が低下したりすることを指します。

日本の研究では、3人に1人もの割合で高齢者がうつ状態にあることがわかりました。気分が晴れなかったり、何にも興味を持てなかったり、気力が出ないと感じたりするのであれば、うつ状態のサインかもしれません。

高齢になると、加齢に伴う体の変化が誰にでも訪れます。また、退職や子どもの自立によって、「会社員・親」などの社会的な役割を手放すことになります。パートナーと死別する方も増えてくるでしょう。物忘れが出てくる方も少なくありません。そういった変化が次々に訪れ、精神的に影響を受けてしまうのです。

③社会的フレイル 社会的フレイルは、家族や友人・知人などとのつながりが減って、社会参加や他者交流の強度が弱まっている状態です。 一人暮らし、家族や友人との死別、家に閉じこもりがちなど、社会的フレイルを加速させる要因はたくさんあります。「退職して、趣味も友人もなく、1日中家で何もすることがない」という方は案外多いです。そういった状態を放置していれば、社会的に孤立し、心身が衰えるきっかけとなってしまうかもしれません。

家族として大切な関わり

親世代、祖父母世代など、高齢家族のフレイルを予防するため、家族として知っておきたいこと、できることはなんでしょうか?

定期的に交流を持つ

フレイルの状態を予防・改善するために、定期的な交流が重要です。といっても、毎日電話したり、毎月会いに行ったりといった密な交流をしろというわけではありません。現実的に考えれば、1〜数か月に1回くらいは顔を合わせて食事をする、時々電話をかけて状態を確認するといったところでしょうか。

会ったときには家でお話をするだけでなく、買い物に一緒に歩いて付き添ったり、散歩に誘ったりと、体を動かすように促すのもおすすめです。筋肉量減少の予防にも繋がります。

顔を合わせたときには、「状態を確認しよう」という意識で観察してみましょう。歩くスピードや歩き方はどうか?食欲はどうか?痩せていないか?誰かと会ったり出かけたりしているか?前と比べてみてください。 毎日顔を合わせていては気が付かないような変化も、時々会う間柄であれば気がつけるということもあります。心身の衰えに気がつき、早い対処をするために、ご家族の目で時々確認してください。 また、家族と会う機会があれば孤独感が緩和され、精神的なサポートにもなるでしょう。

通院・治療ができているか確認する

フレイル自体は病気ではありませんが、病気が原因でフレイルが進行することはあります。ご高齢になれば、誰でも1つくらいは病気を持つものです。

たとえば、女性は閉経を機に骨粗鬆症となる方が増えます。もし骨粗鬆症の治療をしなければ、骨が脆くなるのを抑えられず、ちょっとしたはずみで骨折することになりかねません。足や骨盤の骨折をきっかけに歩けなくなって筋力が落ち、リハビリに何か月もかかるなどということも考えられます。

高血圧もよくある病気です。75歳以上の日本人では、約80%が高血圧に罹患していると推計されています。治療をせずにいると、動脈硬化がどんどん進行し、脳梗塞を起こすかもしれません。場合によっては麻痺が残り、思うように動けなくなりフレイルが進行、日常生活に支障が出てしまうこともあります。

頭では必要だとわかっていても、「通院を続ける」というのは案外難しいもの。特に理由もなく通院をやめてしまう方もいれば、通院手段がなくやめてしまう方、病気が見つかる不安からやめてしまう方、費用が心配で入院を拒否する方など、さまざまです。

適切な医療を受け続けることで、病気の進行を予防するだけでなく、フレイル予防にも繋がります。高齢家族の健康状態を把握し、通院しているかどうか、薬を飲んでいるかどうかなどを気にかけてみてください。「気にかけてくれる家族がいる」という事実だけでも、精神的なサポートになります。通院を続けて早いうちから異変に気がつき、医師や看護師、理学療法士などの専門家と連携をとることができれば、フレイルの進行を抑制することができるでしょう。

もし通院がない場合は、健康診断を受けるように促しましょう。退職すると、健康診断を受けない方が多くなります。自治体の助成が受けられるものも多いですから、お住まいの自治体の情報を確認してください。忘れがちなのは、歯科検診です。歯の健康が損なわれることは「オーラルフレイル」と呼ばれ、噛む力や飲み込む力の低下につながり、全身の健康に影響することがわかっています。これを機会に、1年に1回は歯科にもかかるようにお伝えください。

社会参加のサポート

地域の趣味サークルやボランティア活動など、何か打ち込めるものを探すサポートをしてください。

高齢の方は、やりたいと思うことがあっても、なかなか情報に辿り着けないという悩みを持っている場合があります。若い世代の方が情報探しをサポートすることで、社会参加のきっかけを掴むことができるかもしれません。何かやりがいを感じるものがあると、社会的にも心理的にも活発になり、フレイル予防に繋がります。出歩くようになれば、身体的にも筋力低下の予防が可能です。

まとめ

今回は、高齢者の健康と関わる「フレイル」という状態について解説するとともに、ご家族に知ってもらいたいこと、ご家族にできることをご紹介しました。家族にとっても、高齢家族が介護に頼らず元気に過ごせるのは重要なことです。一緒に住んでいなくても、家族にできることはたくさんあります。健康で過ごしてもらうために、家族として少しのサポートをしてみてください。

・国立長寿医療研究センター.高齢者「うつ」の原因は? https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/15.html ・国立長寿医療研究センター.フレイルの原因は? https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/07.html ・東京都医師会.フレイル予防 https://www.tokyo.med.or.jp/citizen/frailty ・厚生労働省.健康長寿に向けて必要な取り組みとは?100歳まで元気、そのカギを握るのはフレイル予防だ https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou_kouhou/kouhou_shuppan/magazine/202111_00001.html


bottom of page