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​健幸情報

栄養とサルコペニア予防の関係について

更新日:4月5日

皆さんは、「サルコペニア」についてご存じでしょうか?誰にでも起こる老化現象の1つで、進行すると寝たきりに繋がってしまうものです。 サルコペニアの進行を遅らせ、元気な毎日を過ごすためには、栄養の取り方にも気をつかう必要があります。今回は、サルコペニアついてお伝えするとともに、日々の生活で取り組める食事の工夫についていくつかご紹介しますので、参考になれば幸いです。

サルコペニアとは?

サルコペニアとは、加齢に伴う筋肉量の減少や筋力の低下を指す言葉です。「筋肉の老化現象」と表現することができるでしょう。 とくに、「抗重力筋」と呼ばれる、姿勢を維持するのに必要な筋肉を中心に、衰えが進行します。広背筋(背中の筋肉)や腹筋(お腹の筋肉)、大臀筋(お尻の筋肉)、膝伸筋(膝の曲げ伸ばしに使う筋肉)などが抗重力筋です。

サルコペニアは誰にでも起こるもので、30歳前後から始まります。そして、40歳ごろを境に筋肉量の減少は自覚を伴うようになり、60歳を超えるとその減少スピードはさらに上がります。

疲れやすい、よくつまづく、といった些細な症状から始まりますが、次第に転びやすくなり、時には骨折に至ってしまうこともあるでしょう。足腰の筋力が低下すると、外に出るのが億劫になったり、趣味の活動が制限されたりしてしまいます。いつまでも元気に楽しく過ごすために、サルコペニアの予防に取り組みましょう。少しでも早い段階から予防策を取ることが大切です。

サルコペニアの進行を抑えるには、もちろん筋力トレーニングも重要ですが、もう1点、栄養にも気をつかう必要があります。

サルコペニア予防に必要な栄養素

サルコペニアを予防するために、積極的にとりたい栄養素についてご紹介します。日々の食事に取り入れるためのポイントもお伝えしますので、参考になれば幸いです。

①タンパク質

筋肉の材料として、何よりも大切なのはタンパク質です。朝昼夕の3食でバランスよく摂取するのがよいとされています。筋肉量の維持・向上のために、タンパク質をしっかりとりましょう。

ご高齢になるにつれ、たくさんのタンパク質(肉や魚)を食べるのが難しいと感じる方が増えます。それ自体は自然なことですので、「無理をしてでも、肉や魚をたくさん食べなさい」というわけではありません。他のタンパク質として、卵や大豆製品、乳製品も活用してみましょう。

たとえば、朝ごはんは食パンとコーヒーだけという方であれば、ゆで卵や目玉焼きなど、卵料理を一品追加してはいかがでしょうか。ヨーグルトやチーズ、ウインナーでもよいでしょう。3回の食事に、1品は必ずタンパク質を入れることを意識してみてください。

あまり一度にたくさん食べられない方は、おやつにタンパク質をとることもおすすめです。うずらの煮卵やヨーグルト、小魚、かまぼこなどは、調理不要で量も調節しやすく、おやつに向いています。糖尿病などで制限がないのであれば、プリンもタンパク質が多いのでおすすめです。

【タンパク質の必要量】 タンパク質として、体重1㎏あたり1.2gほどの摂取が推奨されています。体重が50㎏であれば、タンパク質として約60gです。(食材の重さではないので注意してください)ただし、腎臓病や糖尿病などで、医師や栄養士から別途食事の指示を受けている場合は、その指示に従ってください。

【タンパク質の多い食材】 次に紹介する表を参考にしながら、ご自身のタンパク質摂取量が足りているかどうか考えてみてください。もし不足しているようなら、卵やチーズ、豆腐などを追加してみてはいかがでしょうか?

②ビタミンD

ビタミンDは、筋肉の合成を促す作用があるため、サルコペニア予防のために重要な栄養素の1つといえます。

また、骨を強く維持するためにも必要です。転んだ時に骨折して寝たきりとならないよう、骨の健康維持も意識しましょう。

ビタミンDは、食べ物からの摂取だけでなく、日光浴をすることで体内で作ることもできます。地域によりますが、夏は10分、冬は30分以上、太陽の光を浴びるようにしましょう。それだけで、1日に必要な量のビタミンDを作ることができますよ。

【ビタミンDの必要量】 1日あたり8.5μgが目安(耐容上限量は80μg程度)です。ビタミンDは脂溶性ビタミンと呼ばれ、大量に摂取した場合に体内に蓄積されてしまうため、必要以上にサプリメントなどで摂取する必要はありません。 もしサプリメントを使う場合は、使用量を必ず守りましょう。また、骨粗鬆症の治療ですでにビタミンDのお薬を服用されている方は、サプリメントではビタミンDをとる必要はありません。ビタミンDのお薬を服用されているかどうかは、薬剤師や医師に確認してください。

【ビタミンDの多い食材】 ビタミンDは、きのこや魚に多く含まれています。野菜炒めや味噌汁などに、きのこを追加してみてはいかがでしょうか。

③オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸と呼ばれる種類の脂質は、加齢に伴う筋肉の衰えを遅くしてサルコペニアの進行をおさえてくれる可能性があり、近年注目されてきています。 脂肪酸には飽和脂肪酸(常温で個体のもの)と不飽和脂肪酸(常温で液体のもの)があり、不飽和脂肪酸はオメガ3.6.9の3種類です。

・オメガ3脂肪酸 アマニ油やえごま油、青魚に含まれるDHA、EPAなど ・オメガ6脂肪酸 サラダ油、ごま油など ・オメガ9脂肪酸 オリーブオイル、なたね油、べに花油など

オメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸は、体内で作ることができない「必須脂肪酸」で、積極的に摂取したい脂質といえます。 オメガ3脂肪酸を豊富に含む青魚を食べる頻度を上げる、サラダや汁物に少しアマニ油をかけるなど、工夫してみましょう。

いろいろな食材をまんべんなく!

特定のものだけを食べるのでなく、いろいろな食材を取り入れることも、健康のためには大切です。ご高齢になり、お一人暮らしやパートナーとの二人暮らしとなると、食事作りもなかなか億劫で、つい同じものばかり食べている、おかずをほとんど食べていないという方は少なくありません。

少しでも多くの栄養素をとるため、次にご紹介する「食品摂取の多様性スコア」を活用してみてください。10品目のうち、5品目以上は毎日食べることを意識しましょう。7品目以上取り入れることができれば、とても素晴らしいです。

食べている品目数が多いほど、炭水化物(お米や麺類)の割合が減り、タンパク質をはじめとしてさまざまな栄養素を取り入れていると評価できます。

いろいろな食材を食べることで、サルコペニアの予防だけでなく、認知症予防やお口の健康維持のためにも効果的です。冷凍食品や缶詰、お惣菜なども活用して、1日にとる品目を増やしましょう。

<食品摂取の多様性スコア> ・肉類 ・魚介類 ・卵 ・大豆、大豆製品(豆腐や納豆など) ・牛乳 ・緑黄色野菜 ・海藻類 ・イモ類 ・果物 ・油脂類(バター、炒め物など)

まとめ

今回は、筋肉の老化「サルコペニア」を予防するために必要な栄養素について紹介しました。筋肉の材料となるタンパク質は、肉や魚だけでなく、乳製品や大豆製品なども組み合わせて、必要量を満たすようにしましょう。

また、さまざまな食品を毎日食べることで、サルコペニア予防、認知症予防、お口の健康意地などに役立ちます。今回ご紹介した内容を少し意識して、日々の食事に取り入れてみてください。

・文部科学省.食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/index.pl ・本川佳子.フレイル・サルコペニアを予防する高齢者の食と栄養. CLINICAL PRACTICE OF GERIATRICS https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/58/4/58_58.550/_pdf/-char/ja ・国立環境研究所.体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定 https://www.nies.go.jp/whatsnew/2013/20130830/20130830.html ・日本脂質栄養学会.毎日のオメガ3脂肪酸で身体能力の維持を http://jsln.umin.jp/committee/omega5.html


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