フレイルの予防に役立つ健康的な生活習慣について
更新日:4月7日
加齢に伴って、「最近疲れやすくなった」「体力が落ちて外出が面倒になった」そんなふうに感じている方はいませんか?もしかすると、「フレイル」に陥りかけている可能性があります。「退職したらしたいこと・行きたいところ」を色々と計画している方も多いでしょう。生き生きと、ご自身のしたいことを叶えていける老後のためには、フレイル予防が欠かせません。今回は、フレイルについて簡単に解説するとともに、予防のための生活習慣をご紹介します。
フレイルとは?
フレイルは、「虚弱」という意味の言葉で、医学用語では「健康から要介護へ移行する間の、心身が弱ってきている状態」です。加齢がフレイル進行の大きな要因で、誰でもフレイルに陥る可能性があります。
以下の3種類のフレイルがあり、そのどれもが心身の健康維持のために必要です。
①身体的フレイル 筋肉量が減り、体の機能や活動能力が衰えることです。 疲れやすさ・持久力のなさを感じる方は、身体的フレイルの入り口に差し掛かっているかもしれません。
⓶心理的フレイル 心理的フレイルは、精神的に心細さやつらさを感じたり、認知機能が低下したりすることを指します。 「会社員・親」などの社会的な役割を手放し、パートナーと死別する方も増えてくるでしょう。そういった変化が次々に訪れることが、精神的に影響してしまうのです。
③社会的フレイル 社会的フレイルは、家族や友人・知人などとのつながりが減って、社会参加や他者交流の強度が弱まっている状態です。社会的な孤立感によって、心身が衰えてしまいます。
3つの要素のうち、どれか1つでも当てはまるようになると、フレイルの進行が早くなってしまいます。 65歳ごろからフレイルに陥る方が少しずつ出てきて、75〜80歳ごろまでには約20%、85歳には約40%の方がフレイルに該当するようになるそうです。元気な毎日を過ごすため、これからご紹介する生活習慣を身につけ、フレイルを予防しましょう。
身につけたい4つの生活習慣
フレイルを予防するためには、なんとなく毎日を過ごすのではなく、体によりよい生活を意識しなくてはなりません。日常生活の中に溶け込ませ、継続するコツも合わせてご紹介します。
①適度に運動する
筋肉の衰え、身体的フレイルを予防するには、何よりも体を動かすことが大切です。 とはいえ、「運動習慣がない」「運動をしようとして何度も挫折した」という方はとても多いです。仕事や家事、子育てなどで忙しい中、つらい運動に時間を割く気持ちになれないのは当然のことでしょう。
少しでも運動を続けるためには、「運動」を大袈裟に考えないことがポイントとなります。10分でもよい、週に1回でもよい、のようにハードルを下げましょう。
毎日取り組みたいのは、ウォーキングです。ウォーキングのための時間を取らなくても、スキマ時間に歩数を積み重ねる「スキマ歩き」で十分な効果が得られます。スマートフォンやスマートウォッチの歩数カウント機能を使って、どのくらい歩いているか確認してみてください。
1日に8,000歩(65歳以上は7,000歩)を目安として、歩数を伸ばして行きましょう。歩くことで疲れにくい体づくりができるだけでなく、糖尿病や脳卒中のリスクを下げることもできます。
<歩数を増やすためのヒント> ・家にこもりがちな方は時間を決めて散歩をする ・近所のコンビニやスーパーには徒歩で行く ・屋内のゴミ箱の数を減らし、ゴミ捨ての度にこまめに歩くようにする ・テレビCMの度に家の中を歩くようにする
自宅でできるような簡単な筋力トレーニングも、筋力の維持・向上のために有効です。週に1〜3回ほど、数分でも取り組むようにしてみましょう。全くやらないよりは、気が向いた時に数分でもやることが大切です。筋力トレーニングの方法については、他の記事でご紹介していますので参考にしてください。
<筋力トレーニングを続けるためのヒント> ・入浴前、昼ごはんの前など、トレーニングと毎日の行動を結びつける ・家族の目に触れるカレンダーなどに記録をつける ・家族や友人などと一緒に始めて、誘い合う
②バランスよく食べる
筋肉を維持するには、バランスよく食べることが重要です。
「歳をとったから、粗食でよい」とお考えの方もいますが、毎日の食事でたくさんの品目を取り入れることが健康につながるとわかっています。理想的なのは、「主食(ご飯、パンなど)、主菜(タンパク質のおかず)、副菜(野菜のおかず)」のセット、定食のようなイメージです。
朝にパンとコーヒーだけなら、卵のおかずとサラダをつけてみましょう。ご飯と味噌汁だけなら、味噌汁を具沢山にするか、魚の缶詰を付け加えるのはいかがでしょうか?
冷凍食品や缶詰・お惣菜などを使いながら、品目を増やすように意識してみてください。ご自身での用意が難しい高齢者の方は、配食サービスの利用も考えてみましょう。自治体によっては、配食サービスの利用に助成が受けられます。
③お口の健康チェックをする
忘れられがちなのが、お口の健康チェックです。歯科クリニックに定期的に通っていますか?
「噛む・飲み込む・話す」など、口周りの機能が低下することを「オーラルフレイル」と呼びます。噛んだり飲み込んだりがうまくできなくなると食事量が減り、筋肉量も減ってしまいます。うまく食べれない・話せないことで人と会うのが億劫になれば、精神的に弱ってしまう可能性も考えられます。
歯科クリニックを定期的に受診し、お口のケアをしましょう。
ご自身の歯が少ない場合は、義歯を作る必要があります。また、義歯は一度作ったら終わりではありません。歯茎の衰えなどに合わせて調整しなければ、うまく食べることができないのです。
加齢や薬剤の影響で唾液の分泌量が減れば、お口の匂いが気になる、うまく話せない、味覚の変化で食欲が低下するといった影響を及ぼすことがあります。
さまざまな調査により、オーラルフレイルは、身体的フレイルや要介護のリスクを何倍にも高めることがわかりました。フレイル予防のために、定期的な歯科受診をおすすめします。歯科受診の適切な間隔は、一人ひとりの状態によって変わるため、歯科医のアドバイスに従いましょう。
④人との関わりを持つ
仕事や子育てが終わり、「人との関わりが急に減ってしまった」「出かける用事がなく、誰とも話していない」という方は、案外多いです。
人との関わりが極端に減ってしまうと、気持ちがふさぎ、外へ出るのがどんどん億劫になり、体力が低下して…というように、悪循環に陥ってしまいます。人と関わりを持つことが、フレイル予防の大事な柱です。
趣味のサークル活動やボランティア活動などに参加してみるのはいかがでしょうか。月に1回以上、人との関わりを楽しむことで、心の健康が維持できるとわかっています。「人の集まりに出かけるのは少しハードルが高い」と感じられる方は、買い物や通院など外出の機会を作るようにしてください。
番外編:検診を受ける
日頃、持病などでの通院をしていない方は、「フレイル検診」を受けませんか?75歳以上の方を対象とした健康診査で、2020年から始まりました。自治体によって取り組みの内容は異なりますが、保健師や管理栄養士などから、生活のアドバイスを受けられることもあります。
「誕生月に検診に行く」など時期を決めておくと、忘れずにすむでしょう。フレイル予防、健康維持のため、検診を活用してください。
まとめ
今回は、フレイルについて簡単に解説するとともに、フレイル予防のために身につけたい生活習慣を4つご紹介しました。 生活習慣は、一朝一夕ではなかなか変えられません。すぐには身につけられなくても、焦らずに少しずつ、生活習慣を変えていくことが大切です。
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参考
・神戸市歯科医師会.オーラルフレイル
https://kobe418.jp/oralfrail/
・東京都福祉局.フレイルって何歳くらいでなるの?
https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kaigo_frailty_yobo/shiru/howold.html
・東京都医師会.フレイル予防 https://www.tokyo.med.or.jp/citizen/frailty
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