top of page

​健幸情報

サルコペニア予防に役立つ健康的な生活習慣と習慣の改善方法

更新日:4月5日

「サルコペニア」をご存知でしょうか?

加齢などが原因で、筋肉量が減少していくことを指します。筋肉の老化現象とも呼ばれており、ある程度自然なことではありますが、筋肉量の減少は健康を損なう大きな原因の1つです。少しでもサルコペニアの進行を抑え、長く健康でいるために、何ができるでしょうか?ぜひ身につけていただきたい、簡単に取り入れられる生活習慣をご紹介します。

サルコペニアとは?

サルコペニア予防について解説する前に、サルコペニアが一体どのようなものか、簡単に説明します。

サルコペニアは筋肉の老化

サルコペニアは筋肉の老化のことで、心身が弱る第一歩ともいえる現象です。

筋肉が衰えると、つまずいたり転んだりすることが増えます。体力も低下し、外出するのが億劫に感じるようになるでしょう。人付き合いも減り、気持ちまで落ち込んでしまう…こういった悪循環を産んでしまうのです。

また、筋肉からは「マイオカイン」という物質が分泌されており、生活習慣病の予防などによい効果を発揮していることがわかっています。筋肉量が減るとマイオカインの分泌量も減るため、健康を損ないやすくなるというわけです。

筋肉の老化は、30歳ごろから始まります。少しでも進行を遅らせるために、対策を始めてみませんか?

簡単なサルコペニアチェックをしましょう

簡単な方法で、筋肉量が減っているかどうかのチェックをしてみましょう。2種類の方法をご紹介します。

<サルコペニアチェック>

自覚症状から筋肉量の不足をチェックする方法です。

・歩くのが遅くなった

横断歩道を、余裕を持って渡れますか?

・つまずくことが増えた

段差のないところで、つまずいていませんか?

・ペットボトルのフタが開けにくくなった

スムーズに開けられなくなっていませんか?

当てはまるものが多い方は、筋肉量が減り始めているかもしれません。

<指輪っかテスト>

筋肉量が不足しているかどうか、体を使って簡易的にチェックする方法です。

・足の裏をしっかり床につけ、膝が90度になるように椅子に座ります。

・両手の親指と人差し指を使って「輪っか」の形を作ります。

・利き足と逆側のふくらはぎの太い部分を「輪っか」で囲みます。

ふくらはぎと輪っかの間に隙間ができる方は、筋肉量が少ないという指標になります。

サルコペニア予防に役立つ生活習慣とは?

サルコペニアチェックはいかがでしたか?

少し不安のある方も問題のなさそうな方も、早いうちから予防を始めましょう。サルコペニア予防のためには、「食事」「運動」の2つを改善し、継続することが大切です。それぞれ、意識したいポイントをお伝えします。

食生活で意識したいこと

食生活を整えるといっても、あまり難しく考える必要はありません。「きちんとカロリー計算をする」「調味料を計測して自炊する」などを想像してげんなりしてしまうかもしれませんが、そんな手間のかかることを長く続けるのは難しいですよね。

生活習慣は、小さなことからコツコツと。毎日の生活で取り入れられるような、ちょっとした意識の積み重ねが大切です。

※糖尿病や腎臓病、肝臓病などで医師や管理栄養士から食事内容の指示を受けている場合は、そちらの指示に従ってください。

①1日3回の食事をとる

サルコペニアの原因の1つとして「やせ」があります。生活習慣病の予防に重点を置いた50歳~64歳では、目標とするBMIは20.0〜24.9ですが、65歳以上では「やせ」による影響を鑑みて目標とするBMIは21.5〜24.9となっています。

体重を減らさないためにも、1日3回の食事をとることが大切です。年齢を重ねると、若い頃のように1回の食事で多く食べられなくなってきます。そのため、食事回数が少ないと、摂取できるエネルギー量も減ってしまい、「低栄養・やせ」につながるのです。

1回の食事量があまり摂れない方は、間食も利用してみましょう。

②タンパク質をとる

栄養素の中でも特に意識したいのが「タンパク質」です。

タンパク質は筋肉や内臓、血液など、体のあらゆる部分を作る材料になっています。不足なく摂ることで、筋肉が維持され、元気に活動することに繋がりますよ。

2つのコツをおさえて、タンパク質の量を増やしましょう。

  1. 毎食1品はタンパク質をとること

  2. 少食の方は間食にタンパク質を取り入れること

お味噌汁とご飯だけ、あんパン1個だけ、というような食事になっていませんか?次に挙げるような

手軽に摂れるタンパク質を1つ加えてみてください。

<手軽にとれるタンパク質の例>

ゆで卵、ツナ缶、チーズ、ウインナー、ヨーグルト、豆腐

お味噌汁にタンパク質を入れるのもおすすめです。豚肉やサバの水煮缶を入れてボリュームアップさせれば、おかずを作らなくてもタンパク質を含んだ1品にすることができます。

③いろいろな食材を食べる

タンパク質をとるだけでなく、いろいろな食材を満遍なくとることも大切です。

日本でおこなわれた調査によると、以下に挙げる10種類の食品のうち、「ほとんど毎日食べる」に該当するものが9つ以上ある人は、趣味の活動や他者との交流が多い傾向にあり、筋肉も維持されやすいことがわかりました。

<食品摂取の多様性評価>

1週間の間で、「ほとんど毎日食べる」項目がいくつあるか数えます。

  1. 魚介類

  2. 肉類

  3. 緑黄色野菜(トマト、にんじん、ほうれん草など色の濃い野菜)

  4. いも類

  5. 卵(鶏卵、うずらの卵、魚卵)

  6. 牛乳

  7. 大豆製品(豆腐、納豆など)

  8. 海藻類

  9. くだもの

  10. 油(揚げ物、フライパンにひく油、パンに塗るバターなど)

これらのうち、あまり摂取できていない食品があれば、意識してとってみてください。

運動習慣のために意識したいこと

筋肉の衰えを抑えるためには、筋肉トレーニングが重要です。特に、姿勢を保って体重を支えるための大きな筋肉を中心に鍛える必要があります。

とはいえ、あまり大袈裟なトレーニングをする必要はありません。ジムに通って重いダンベルを使う…なんて本格的なトレーニングより、少しの負荷でも「続けること」が大切です。日々の生活の中でトレーニングをおこなうタイミングを決めておくといいかもしれません。「ご飯の前に」「テレビCMの間に」など決めておくと、続けやすいです。

目標は週に3回ですが、まずは週に1回からでも取り組んでみてくださいね。

<ひざのばし>

太ももの前側の筋肉を鍛えるトレーニングです。座っておこなうトレーニングですので、続けられるか自信がない方の最初のステップによいのではないでしょうか。

・イスに浅く座り、背筋を伸ばします。このとき、イスの座面を掴んで体が安定するようにしてください。

・片足ずつ、3秒かけてひざを伸ばします。膝をまっすぐ、地面と平行になるように意識してください。つま先は自分の方へ向けるイメージです。

・ひざを伸ばした状態で1秒キープし、また3秒かけて元の姿勢に戻ります。

【左右10回ずつ繰り返す】

※慣れてきたら、イスの座面を掴まず、太ももに手を置いておこないましょう。

<スクワット>

太ももやお尻の筋肉を鍛えるトレーニングです。体の中でも特に大きな筋肉ですので、効果を感じやすいかもしれません。

・両足を肩幅に開いて立ちます。両腕は、まっすぐ前に、地面に平行になるように伸ばします。筋力に不安がある場合は、イスの背もたれを軽く掴んでください。

・ゆっくりと3秒ほどかけて腰を落とします。このとき、膝がつま先よりも前に出ないように意識してください。

・腰を落とした状態で1秒キープし、またゆっくりと3秒かけて元の姿勢に戻ります。

【10回繰り返す】

<背中のトレーニング>

背中の筋肉を鍛えるトレーニングです。ちょっとしたスキマ時間に取り組みやすいので、ぜひお試しください。

・両手をパーの形にして、顔の横に持ってきます。このとき、ひじが90度に曲がるようにします。

・ゆっくりと3秒ほどかけて、肩甲骨を中心に寄せるようなイメージで両肘を下げます。

・ゆっくりと3秒ほどかけて、元の姿勢に戻ります。

【10回繰り返す】

<ウォーキング・足ぶみ>

筋肉トレーニングに加え、ウォーキングや足ぶみといった有酸素運動をおこないましょう。有酸素運動をおこなうと、筋肉の中に毛細血管を増やすことができ、効率よくエネルギーを作り出せる体になります。

64歳以下の方は8000歩/日、65歳以上の方は7000歩/日を目指してみましょう。とはいえ、いきなり目標達成するのは難しい方も多いと思いますので、まずは今よりも+1,000歩を目指します。そのために、歩数計を用意したり、携帯電話の歩数計機能を活用するのがおすすめです。努力が目に見えるので、やる気が出て続けやすくなります。

近所を散歩する、近くへの買い物は歩いて行く、エレベーターではなく階段も使うようにするなど、少しの心がけで歩数はどんどん伸ばすことができますよ。その場で足ぶみをするだけでも、立派な運動です。腕を振って少し太ももを高く上げるように意識すると、筋肉もしっかり使うことができます。

まとめ

今回は、サルコペニアのチェック方法をご紹介するとともに、サルコペニア予防によい食事・運動習慣についてお伝えしました。

食事や運動は、毎日のことですから、小さな目標でも続けて行くことが大切です。ちょっとした食事の工夫、スキマ時間の筋肉トレーニングで、筋肉の老化を遅らせましょう。

参考

・厚生労働省 e-ヘルスネット:サルコペニア

・熊谷 修 他. 地域在宅高齢者における食品摂取の多様性と高次生活機能低下の関連. 第50巻 日本公衛誌 第12号.

・厚生労働省. 日本人の食事摂取基準 2020年版

・久野譜也 著. 死ぬまで歩ける!7秒筋肉体操

bottom of page