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サルコペニアとは何か?原因と予防法について

更新日:4月7日

「サルコペニア」という言葉を聞いたことはありますか? 40歳代頃から自覚症状を伴って気になってくる「筋肉の老化現象」で、誰にでも関わってくるものです。予防のためには何歳からでも対策を取り始める必要があります。

今回は、サルコペニアについて詳しく解説するとともに、有効な予防法をお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。



サルコペニアとは?


まずはサルコペニアについて、どのようなものか、何が原因なのか解説します。



サルコペニアは筋肉の老化


サルコペニアの語源はギリシャ語で、「サルコ=筋肉」「ペニア=失う」を組み合わせた造語です。主な原因は加齢なので、筋肉の老化現象ともいえます。


・一次性サルコペニア 加齢のほかに明確な原因がない場合のサルコペニア。

・二次性サルコペニア 何らかの原因があり、そのために生じたサルコペニア。寝たきり・臓器不全やがんなどの病気・消化管の疾患などが原因として挙げられる。

ここでは、一次性サルコペニアを中心に話を進めていきます。


サルコペニアは筋肉の老化現象だとお伝えしましたが、じつは、筋肉の衰えが始まるのは、25~30歳ごろです。思っているよりも早いのではないでしょうか。そして、40歳ごろを境に筋肉量の減少は自覚を伴うようになり、60歳を超えるとその減少スピードはさらに上がります。


とくに、「抗重力筋」と呼ばれる、姿勢を維持する筋肉を中心に衰えが進行します。広背筋(背中の筋肉)や腹筋(お腹の筋肉)、大臀筋(お尻の筋肉)、膝伸筋(膝の曲げ伸ばしに使う筋肉)などが抗重力筋です。 抗重力筋を鍛えておかなくては、姿勢を維持できず、歩きにくくなります。



サルコペニアによる悪影響とは


サルコペニアをきっかけに、さまざまな不調がもたらされます。

筋肉量が減ると、疲れやすくなるために、運動量・活動量が減ります。そうすると、あまりお腹が減らなくなり、食事量も減ってしまうでしょう。食べなければ栄養状態が悪くなり、さらに筋肉量が減る…という具合に、筋肉減少の悪循環が起きてしまいます。


また、サルコペニアと関わる「フレイル」という状態にも、注意が必要です。 フレイルは、「健康と介護の間の虚弱な状態」で、介護一歩手前の状態を指します。サルコペニアは身体の問題についての考え方ですが、それに社会的・精神的な問題を含めた、その人全体の問題を考えるのがフレイル、ということです。

つまり、サルコペニアはフレイルの一部といえます。筋肉量の減少から、疲れやすくなり、外出が億劫になり、人との関わりが減り、気持ちがふさぎがちになり…といった具合に、社会的・精神的な問題が生じてくるのです。


筋肉を減らさないことが、長く元気に過ごすためのカギの1つ。もともとの筋肉量を増やすこと、筋肉を失うスピードをゆるやかにすることを目指しましょう。



サルコペニアチェックをしよう


では、ご自身のサルコペニア進行度合いをチェックしてみましょう。


<サルコペニアチェック> ①歩くのが遅くなった 横断歩道を、余裕を持って渡れますか? ②つまづくことが増えた 段差のないところで、つまづいていませんか? ③ペットボトルのフタが開けにくくなった スムーズに開けられなくなっていませんか?

このチェックリストに当てはまる方は、筋肉の減少が進んでいるかもしれません。



サルコペニアの予防のために


サルコペニアの可能性がある方も、まだ大丈夫そうな方も、筋肉の減少スピードをゆっくりにするため、早いうちから予防のための対策をとりましょう。2つの改善ポイントをお伝えします。



食事


まずは、食事内容を見直してみましょう。筋肉をつくるためには、タンパク質が必要不可欠です。


年齢を重ねるにつれ、多くの方は肉や魚をたくさん食べられなくなってきます。肉や魚だけでなく、大豆製品や乳製品なども取り入れながら、タンパク質の摂取量を増やしましょう。


具体的な摂取目標は、体重を参考に考えます。40kgの方であればタンパク質を40g、50kgの方ならタンパク質を50gという具合です。 (腎臓や肝臓の病気で、タンパク質の摂取量を医師・栄養士から指示されている場合は、そちらに従いましょう。)


タンパク質の量は、肉や魚の量のことではありません。具体的なタンパク質の量をいくつか例示しますので、参考にメニューを考えてみてください。


たとえば、朝ごはんにゆで卵、昼ごはんは焼き鮭定食、夜ご飯は照り焼きチキンといった具合に、毎食1品はタンパク質をとるように意識してみるとよいです。「ご飯とお味噌汁だけ」で済ませてしまうこともあるかもしれませんが、ゆで卵や納豆など手軽に加えられるタンパク質も取り入れてみてください。

肉や魚が苦手な方は、チーズやヨーグルト、豆腐などを取り入れて、タンパク質を減らさないようにしましょう。



運動


筋肉は、使わなくては衰えてしまうもの。筋肉の減少をおさえるため、日々の生活で「運動」を取り入れましょう。


運動は、「筋力トレーニング」と「ウォーキング」の2種類をおこなうのがおすすめです。「運動は健康のために必要だ」と頭ではわかってはいても、なかなか取り組めなかった人が多いと思います。


ここでは、家で簡単に、短い時間で取り組めて、道具を買う必要のないトレーニングをご紹介します。「筋力トレーニング」と聞くと、ジムに行って重い道具を使った本格的なものを想像するかもしれませんが、サルコペニア予防の筋肉トレーニングはもっと気軽なもので十分です。

はじめから完璧にこなす必要はありません。週に1回でも、ほんの5分でも、まずは取り組んでみましょう。


<スクワット> 太ももの筋肉を鍛えるトレーニングです。いつまでも元気に自分の足で歩くために、下半身の筋肉を維持しましょう。

・両足を肩幅に開いて立ちます。両腕は、まっすぐ前に、地面に平行になるように伸ばします。 ・ゆっくりと3秒ほどかけて腰を落とします。このとき、膝がつま先よりも前に出ないように意識してください。 ・腰を落とした状態で1秒キープし、またゆっくりと3秒かけて元の姿勢に戻ります。 【10回繰り返す】


<背中のトレーニング> 背中の筋肉を鍛えるトレーニングです。繰り返しおこなうと、肩甲骨のあたりがじんわりと暖かくなるのを感じられます。

・両手をパーの形にして、顔の横に持ってきます。このとき、ひじが90度に曲がるようにします。 ・ゆっくりと3秒ほどかけて、肩甲骨を中心に寄せるようなイメージで両肘を下げます。 ・ゆっくりと3秒ほどかけて、元の姿勢に戻ります。 【10回繰り返す】


<足踏み・ウォーキング>

ちょっとしたスキマ時間で、大きく太ももを上げた足踏みをしましょう。時間のある方や気分を変えたい方は、外へウォーキングに出かけるのもおすすめです。


たとえば、毎日の生活の中でこんなスキマ時間はありませんか? ・テレビでCMが流れている間 ・電子レンジでおかずを温めている間

なんとなくぼーっと座っているのであれば、その時間を使って足踏みをしてみましょう。その場で足踏みをするだけのことでも、立派な有酸素運動です。ウォーキングをするのと同じような効果が得られます。


1日に8,000歩、1週間で56,000歩を目標に、足踏みやウォーキングを積み重ねてみましょう。あまり外に出ない方、デスクワーク中心の方などは、毎日8000歩到達は難しいかもしれません。その場合には、まずは今よりも「+10分(=+1000歩)」歩くことを意識してみましょう。例えばちょっとした買い物は歩いて行く、歩いて帰宅する際に少し遠回りをしてみるなどの工夫をしてみるのも良いですね。


スマートフォンやスマートウォッチでも歩数を測定できますし、歩数計も数千円程度で購入できます。実際に数値で頑張りが見えるとやる気が続きやすいので、ぜひ歩数を測定してみてください。



まとめ

今回は、サルコペニアとは何か、また、効果的な予防法についてご紹介しました。 誰にでも訪れる「筋肉の老化」を食い止め、長く元気に過ごしていくために、食事と運動に気をつけてみましょう。毎食1品タンパク質の食品を食べること、短い時間でも運動を取り組むことで、筋肉の老化を緩やかにすることができます。 今回ご紹介した対策を、ぜひ日常に取り入れてみてください。


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参考


・文部科学省. 食品成分データベース https://fooddb.mext.go.jp/index.pl

・厚生労働省 e-ヘルスネット:サルコペニア https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-087.html

・厚生労働省 e-ヘルスネット:抗重力筋 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-093.html

・久野譜也 著. 死ぬまで歩ける!7秒筋肉体操

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